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ジャズドラマー大我の日々をHP管理者がお伝えします。

  • Author:ジャズドラマー大我の日々をHP管理者がお伝えします。
  • ジャズドラマー大我:プロフィール
    ギネスブック認定の世界最年少プロドラマー。
    60代のベテラン黒人ベーシスト、バスター・ウィリアムズ、40代の白人トップピアニスト、ベニー・グリーンとともに、世代や人種、言葉の壁を超えたジャズの対話を表現するアルバム「A Time In New York」をニューヨークの名門クリントンスタジオにて収録。高い評価を受けて好評発売中。

    母のお腹の中からジャズを聴き始め1998年7月9日誕生。5歳から本格的にジャズドラムを始め6歳10ヶ月でプロデビュー。北野武「誰でもピカソ」、徳光和夫「Theサンデー」、フジテレビ「スーパーニュース」の報道特集等のメディアでも注目を集める。05年7歳でNYに渡りやミンガス・ビッグバンドやエリック・アレキサンダー(ts)、ライアン・カイザー(tp)、マイク・ルドン(p)等と共演。ハーレムでの初ライブでは「エルビン・ジョーンズの再来」「老練な黒人ドラマーのような本物の4ビート感覚」等と絶賛され、日本よりむしろNYの大物ジャズメンの間で知られる存在となる。日野皓正(tp)をはじめ、ハンク・ジョーンズ、(p)、ソニー・ロリンズ・バンドのクリフトン・アンダーソン(tb)、VSOPのエディ・ヘンダーソン(tp)、ジャコ・パストリアス・グループのオテロ・モリノー(std)、アート・ブレーキーの長女エブリン (vo)、北村英治(cl)、板橋文夫(p)等と共演、韓国国際ジャズフェステバル、大阪フィル打楽器フェスティバル等への出演も大好評を博した。07年10月には横濱ジャズプロムナードにて巨匠穐吉敏子氏のトリオで演奏。また三笠宮殿下主催のコンサートに招かれ、日野皓正、山下洋輔、渡辺香津美という日本ジャズ界を代表する3巨頭とのコラボレーションに臨み圧倒的なパフォーマンスを披露した。11月には銀座インターナショナルジャズフェスティバルに日本代表として自己カルテット「Tiger, Burning Bright」で出演。NYのグレッグ・バンディ、ルイス・ナッシュ、ケニー・ワシントンなど、本物を継承する名ドラマーたちと親交を深め、08年夏NYヴィレッジ・ヴァンガードでルー・ドナルドソン(as)と、ニューオリンズでデルフィーヨ・マルサリス(tb)、マーロン・ジョーダン(tp)等と共演を重ねながら、リアルジャズを追求し続けている。
    本年度後半は、韓国インターナショナル・ドラムフェスティバル、シンガポール大統領主催のコンサートへの出演が決定しており、ジャズ界で最も注目される逸材である。
    ジャズの名門レーベル「Colombia/SAVOY」と「Spice Records」より、ジャズ史上最年少でのリーダーアルバムの2枚同時リリース。ギネスブックに世界最年少プロドラマーとして正式に認定された。

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甲府コットンクラブ

 今回のツアーでは、関西圏以外では初めて演奏するお店が多かったです。この日の会場は甲府のコットンクラブ。甲府は大我の祖父母が住む長野県諏訪郡のお隣ですが、甲府へ来たのは初めてでした。
 コットンクラブは、インテリアが凝っていてどことなくレトロな空気が漂う高い天井のお店。控え室に案内されてびっくり。その扉は厚さ30cm以上は悠にありそうな重厚な鉄製。しかも鉄格子付き…。閉所恐怖症でなくとも「閉めないで〜!」っと叫んでしまいそうな扉でした(笑) 聞くところによると、昔、銀行だったのだそうです。控室として使っている空間は、金庫室だったのですね。納得。

 ライブ前に山梨の新聞社から取材を受けました。大我、インタビューに答えるのがどんどん上手になってきました。この日もドラム以外の趣味は?と訊かれ、大好きな野球について、そして阪神タイガースの話題で楽しそうに盛り上がっていました

Cotton Clubマイルスが見守る…
 
 本ツアー7度目のステージでした。
 ツアーを通して聴いていると、同じ曲オーダーでもそれぞれのステージで全く違うドラマが描かれます。同じ曲が決して同じにならないのがジャズ。そのジャズの醍醐味を満喫できました。
 ベニー・グリーンさんのピアノはいつも溜息が出る瑞々しい音楽を奏で、バスター・ウイリアムスさんの独創的で美しいベースサウンドに酔いしれました。ツアー中の日々の中でも成長を続ける大我も、立派にリーダーとしての貫録を音の中に示し、素晴らしい集中力で音楽を作り上げていました。

  全く知らない場所にもかかわらず、老若男女たくさんお客様が来て下さり、世界的なジャズメンと日本の10歳のジャズドラマーのコラボレーションを心から楽しんでくださいました。「感激しました!」「生で聴けて感無量です!」など、いろいろな温かなコメントをいただきました。
 日本全国色んなところにジャズファンはいます。いい音楽を渇望する人たちがいます。ここ甲府においては、コットンクラブがそのような熱心なジャズファンの憩いの場となっているんだなあと感じられました。

ツアー後半、横浜KAMOME

 古都京都でのんびり過ごし、しっかりと英気を養ったトリオ(バスター・ウイリアムス氏、ベニー・グリーン氏、大我)は、関東方面でのツアー後半に臨みました。

 まずは、横浜のKAMOME。
 お店の壁に、誰もが思わずふっと微笑んでしまうとても印象的な写真があって、心が和む素敵なお店です。
Kamome
 大我のソロは、日に日にその世界観を広げ、成長していくように思えました。
Kamome2
 この日珍しく、バスターさんがアンコール曲を変えようと言い出しました。TOKU-DOというご自身のオリジナル曲を提案されて、ベニーさんも大我もすっかりその曲が気に入って快諾していました。
 ステージが進み、熱を帯び、最高潮のままアンコールへ突入。
 しかし…
 始まったのは聞き覚えのあるイントロ。しかし超高速。このツアーを通して演奏して来たいつものアンコール曲Billy Boyでした。
 「誰?誰が間違ったあ…?!」
 びっくりしましたが、あとで聞いた話によると、バスターさんがステージの盛り上がりから直感で直前に決めたのだそうです
 「アンコールはやっぱりBilly Boyで!しかもいつもよりもっと速く!」と・・・。
 もともとかなりの疾走感で演奏する曲ですが、この日は本当に雪崩のような壮絶な速さでした。バスターさんは、大我ならそんなスピードでもビートを刻んで表現を広げることができるとの確信があったようです。しかし、ベテランのベニーさんにしてもご本人のバスターさんにしても超高速となるとやはりかなりの集中力とエネルギーを要します。3人はものすごく緊迫するビートの中、集中力を一体感へと高めて素晴らしい演奏で締めくくりました。とても圧倒的な聴き応えのあるステージで、しばらく拍手が鳴り止みませんでした。

Holiday in Kyoto!

 下関で幕を開け、広島、京都、大阪、名古屋と5回のステージを連夜がんばったこのツアー、中三日のOFFがありました。
 ベニーさん、バスターさんの宿舎は大我の地元・京都。せっかくなので京都のいいところを見てもらおうと、のんびりとですが、ちょこっとづついろんなところをご案内しました。

 GIONのおいしいお料理屋さん「いわい」へ。
at Gion Iwai
 大我のストリートライブをたまたま聴いてご主人が感激してくださったことがご縁、海外からのミュージシャン方が来られた時などに、おいしい京料理を味わってもらおうとご案内するお店です。熱血料理人の「いわい」の大将とほっこり笑顔が素敵なおかみさん。お二人の姿をカウンター越しに見ながら舌鼓を打っていたバスターさん、「料理に対する愛と誇りを感じる!素晴らしい店だ」と大絶賛。「音楽も料理も愛がないとね」とベニーさんもにっこり。初来日のリアさんも含め、付け合わせ、飾りの花に至るまで全員完食!

 そして、祇園といえば・・・、
 そう、Pick Up!
 京都RUGのライブへPick Upのママさんもスタッフのチマリちゃんも来てくださっていて、その時のRUGでの打ち上げですっかりバスターさんらと意気投合され、「Pick UpへOFFの日に遊びに行く!」約束ができていたのです。
 で、あっという間にこんなことに!
at pickup
(写真提供:PickUpケイコママ)

 (デミやんは、至近距離でバスターさんの手元に釘付け!写真には写ってませんが、もちろんピアノの真ん前にはじーつーが陣取ってます
 そうこうするうちに、近くでライブだった市川芳枝さんもやってきました。
at Pick Up with Yoshie
 セッションは続きTiger, Burning Brightで大我、じーつー、デミやんも演奏!
 楽しい夜になりました!

 この日は、プチ京都観光にお付き合い。
 まずお昼は大我が何度もライブをしているスローフードレストラン、上賀茂の「きらきらひかる」へ。「きらきらひかる」のお料理に使われるお野菜はなんと自家製で新鮮そのもの。ベニーさんがベジタリアンだと思っていたのでお昼食べるならココ!と決めていたのです。結局ベニーさんはこのツアーでベジタリアンあっさりやめちゃってましたので、こだわる必要はなかったのですが、どちらにしても新鮮でおいしいお料理を存分に楽しんでいただきました。自家製のデザートも大絶賛でした。
4/12、きらきらひかるで市川芳枝さんとのライブがありますよ!)

 お腹もいっぱいになったところで、まずは大我にとっては、馴染みの深い上賀茂神社へ。
tiger jazz successors trio3
 世界遺産です!
 バスターさんが来ているのは、前日に河原町三条の「オニツカタイガー」ショップでGETしたジャージです!バスターえらく気に入って、お孫さん(本物の)へのお土産を全部オニツカタイガーショップで買われました。「Nice!」と何度も叫んでいました。

 縁結びのお社の前でなお二人。
Benny & Leah
大我もそうっと、離れた所からニコニコ笑って見ていました。

 そして、誰もが知っている名所・金閣寺
kinnkakuji
Benny@temple
 インスピレーションが入ってくる?

 そして、嵐山へ行く道すがら、毎年必ず初詣する芸能神社にも立ち寄りました。
Tiger & Benny2
 日本一の芸能の神様!鬼に金棒!

 そして嵐山へ。
tiger jazz successors trio2
 バスターさんと大我は本当におじいちゃんと孫みたい。
Buster & Tiger2大我が手にもってるのはケン玉!

 あまり知られていないようですが、嵐山には温泉があるのです。
Benny & Leah onsen

 かくてトリオは3世代3人で温泉に入り、さっぱりゆったりツアー後半への英気を存分に養ったのでした。
tiger jazz successors trio1
Nice Smiles

名古屋ブルーノート

 大我も大好きなハウス、名古屋ブルーノート。バスター・ウイリアムスさん、ベニー・グリーンさんという名実ともにトップジャズメンであるお二人と一緒にこのステージに立てるのは本当にうれしいことでした。気合いが入ります。
 
 …といいつつ、名古屋にはライブを通して同年代のお友達がいっぱいいる大我。リハーサルが終わるとジーツー&でみやんの引率で来てくれた子供軍団は、近くのビルにある観覧車に乗りに行っちゃいました。(ちょっとうらやましそうだったベニーさん…)大我はやっぱり10歳の子供なのです。
 バスターさんもベニーさんもツアーを通して何度もおっしゃっていました。「ステージでは子供だと感じさせない大我なのに、ステージを降りると一瞬にして無邪気な子供に戻る。それを見るたびに幸せな気分になるよ」と。
Nagoya Blue Note
このツアーを通して痛感したのが、一流ミュージシャンの耳のよさと!
 名古屋ブルーノートでのライブ、ワンステージ終わった後のバスターさんはちょっとご機嫌ナナメ!実はサウンドチェックの際とはスピーカーの使用状況がほんの少し違っただけでしたが、それでも「音」に違和感を感じるとのこと、ほどなく修正してバスターさんも納得されましたが、プロ魂というか、そのパフォーマンスへのこだわりに脱帽しました。

Nagoya Blue Note2
 日を追うごとに「会話」の内容が濃くなってくる3人。
 そのテクニックには言わずもがな脱帽ですが、今日はまたいつにもまして骨太で情感がこぼれ出るような熱いピアノで聴かせてくださったベニーさん。豊かな表現で想像力をかきたてられるバスターさんのベースと弾けるように生き生きとした大我のドラムが作り上げる一体感も素晴らしかったです。大我のソロもパワーと深さをどんどん増してきました。
 
 さて、この日のバックステージ。こちらでの「会話」もその濃さを増してすごいことになっていました。ジャズの生き字引きのようなバスターさん、間違いなくジャズオタクのベニーさん。話題には事欠きません。
 尊敬するシダー・ウォルトンとやっと会えたのに全く会話がかみ合わず、図らずもしょーもない言い争いをしてしまったベニーさんの若き日の失敗談、自分とまったく同じ名前のファッションブランドが日本にあると知った時のセシル・マクビーの哀愁話、大物クインシー・ジョーンズが例外なくいつも「両手に花」状態で現れることについてのジョークなどなど、他愛ない、しかし非常に生々しい話が次々と出てきます。ベニーさんが敬愛するレイ・ブラウンから初めてピアニストに指名されたとき、どのような心構えと覚悟で臨んだかという思わず感涙の「深イイ話」も聴けました。
 臨場感たっぷりの濃いジャズ話の極めつけに「最高のリズムセクションの条件は?」「バンドとして演奏する時にミュージシャンが肝に命ずるべきことは?」などのクイズ的議論も白熱。非常に興味深い会話を聞かせていただき勉強になりました。 
 
 それにしてもミュージシャンでもない筆者、なんでこんな貴重な会話を私が聞いているんだろう!とドキドキ!もったいないので全部記憶しなくっちゃ!と脳味噌フル回転!しまいにはいろんな意味で頭が痺れてきたひと時でした。

 その頃、大我は…
 

京都&大阪ライブ

 広島の皆様の熱〜いご声援で盛り上がったあと、関西へ上がってきた一行。まずは京都の老舗ライブハウスRAGでのライブでした。

 まず、ライブ前に一階にあるお好み焼きやさんで食事。ごく普通のお好み焼屋さんなんですが、各テーブルに埋め込まれた鉄板(ごく普通です)を見て、バスターさんもベニーさんも大興奮。なんとベジタリアンのはずだったベニーさんがベジタリアンをやめてしまった記念すべき日となりました

 RAGは満席!小さな子供さん達もたくさん聴きに来てくれました。大我の師匠である西代一博先生のジャズドラム教室「ミュージックラボ」の生徒さん達も大勢来てくれました。もちろん師匠ご本人も!大我のお馴染みのお客様、友人、知人、そしてミュージシャンなど大勢が駆けつけてくださいました。

バスターさん達は「さすが、タイガーは人気者だね!」とびっくりしておられました。

 日を追うごとに濃密度を増す三人の会話。ますます息のあったプレイがこの日も展開され、お客さまにも大満足していただきました。
RAG

 この日、大我が大好きなヴォーカリストの市川芳枝さんも聴きに来てくださっていました。芳枝さんは大我の恩師ピアニスト故・市川修氏の未亡人。修さんの遺作でベースを演奏されたのがバスターさんというご縁で、バスターさんも芳枝さんと思い出話に花が咲きすっかり意気投合。アンコールでは、芳枝さんの飛び入り参加が実現しました。どっしり渋いブルースがかっこよかったです。
 仲間が集ったライブ後の打ち上げもハチャメチャな盛り上がりようで楽しかったです!


 そしてバレンタインデーの14日、大阪は心斎橋そごう劇場のステージでした。
 毎回リハーサルから内容が濃い3人ですが、この日、なぜか音合わせから物凄いフリー演奏が延々と繰り広げられました。三人三様の発想の豊かさと冒険心が垣間見れたひと時。
 しかし結局、そのままリハ終了…
 バックステージで、演奏曲目のオーダーを確認すると、「昨日と同じ」とバスターさんが一言。実はこれまでの4公演、演奏曲目はほとんど毎回同じでした。
バスターさん、
「今回のツアーはそうあるべきだと思うんだ。そうやって同じ曲を3人で高めあって完成させ、3人ならではの作品にしていきたいんだ。ベニーと大我はどう思う?」と。
「まったくそのとおり。」とベニーさん。
大我も、「はいOKです」と笑顔。
で、その返事を聞いてバスターさんは笑顔で渋いコメントを付け加えられました。
「マイルスなんてさ、生涯おんなじ曲を演奏し続けてたんだから」
ものすごい説得力のある言葉でありました・・・

 ということで、連日のオーダーでステージは幕開け。
Sogo
 演奏はバスターさんの指摘通り、どんどん完成度と円熟味を増し、演奏する3人も途中で頻繁に笑顔を交わしていました。大我のMCもなかなかサマになってきました。
Sogo2

 演奏後、ますます「ファミリー」のようになってきた3人。
sogo after


広島Bird

 ツアー2日目は、広島のこじんまりとしたライブハウスBirdでした。
この奇跡的なトリオが間近で聴けるという事で、遠方からも沢山のJazzファンが来られました。
Bird
 このツアー、大我にとってプロデビュー以来「お初!」(正確に言うと生まれて初めて!)となる経験がありました。
 MC担当!!!
 今回のツアーでは全行程にわたり、大我本人が曲紹介やメンバー紹介・・・「僕のブラザーを紹介します。ベースはバスター・ウイリアムス!ピアノはベニー・グリーン!まだまだいっぱい演奏しますので、ゆっくり聴いていってください!」・・・などライブの基本的なご案内を担当しました。どんな舞台でも、共演者がどんなに大物でも緊張しない大我ですが、どうしても緊張してしまうのが「しゃべり」。その一番苦手なしゃべりをしなくてはいけません。リーダーですから!
聴いてる方がドキドキでしたが、これがまた好評で演奏の緊張感との緩急がついて絶妙な運びとなりました。

  大我のソロがさく裂した夜… 
 バスターさんが「Wow!Cool!!!」
 ベニーさんは「Amazing Solo!」と何度も呟いていました。




Jazz Successors Tourは下関から

 大我は現在、自己バンドTiger, Burning Bright (辻佳孝p 出宮寛之b)にテナーサックスの河村英樹さんを迎えたツアーをすでに終えたところなんですが・・・、遅ればせながら、写真とともに先月のJazz Successors Tourの模様をレポートします。

 ツアー初日は、2月11日、山口県下関市のBillieで幕開けました。
 ベーシストBuster WilliamsさんとピアニストのBenny Greenさんはそれぞれニューヨークとポートランドから前日に来日、その日のうちに下関入りすべく成田から福岡へのフライト。今回のツアーに同行する辻さん(ベニーさんのアシスタント)と出宮さん(バスターさんのアシスタント)がお迎えのバンで陸路福岡空港へ向かいました。
 そこから着々と陸路下関へ…との予定だったのですが、早くもマンガみたいなアクシデント発生!Bennyさんの荷物が行方不明!幸い中身はカラっぽ(お土産お持ち帰り専用ケース)との事。あれやこれやと手続きを済ませ、1時間遅れでお出迎えのバンに乗車。
 その車内・・・お二人はいわゆる世間話(?)にずっと花を咲かせておられたのですが、さすがはジャズジャイアンツ!その内容の濃さといったらものすごく、登場人物が尋常ではありません。「マイルスはあの時…」とか、「ソニーはああ言った」とか「フレディーはこうした」とか…。辻さん出宮さんも耳がダンボでしたが、英語なので…
 宿舎で待つ大我は半年ぶりにお二人と再会。ちゃんと英語で「Nice to see you again!」とご挨拶した大我にHugの嵐。「少しの間にずいぶん大きくなったね!」と言われ嬉しそうな大我でした。
 チェックインを済ませ全員でウエルカムパーティー!場所は下関の居酒屋さん。地の鮮魚から牛、馬の生肉・・・お二人、食べる食べる!日本食がだ〜い好き!(ニューヨークでのレコーディングの時も日本食のデリバリーが一番人気でした)
 食事中もジャズ談議に花が咲き、一瞬にしてテンションが「世界モード」へと切り替わりってぴりりと気が引き締まり、翌日からのツアーへの期待が一気に膨らんだ時間でした。

 下関と言えば「ふぐ」、つまりなんとなく和風なイメージが濃かったのですが、Billieはとても都会的で洗練されたおしゃれなライブハウスでした。出演者のラインナップを見ても質の高いステージで評判なお店であることがよくわかります。お客さんの耳も肥えているはず…。
 さて、リハーサル。Bennyさんの集中力、Busterさんの音へのこだわりが尋常ではありません。
大我はトップミュージシャンのライヴを聴きに行く時、必ずリハーサルから押しかけます。リハーサルを聴いてから本番を聴く。そこには本当に大事な、大切な要素が沢山詰まっています。(ミュージシャンだからといって大御所たちのリハーサルは中々聴けるものではありませんが、大我の持っている空気というか運というか、何故かその生きた勉強の場を体験できるのです)
 その生きた勉強の詳しい内容は伝えれませんが、TBBのメンバーであるジーツーとデミヤンには目から鱗の連発だったみたいです。(この大切な体験は、以後のツアー中ずーっと続くのでした)

 大我もバスターさんもベニーさんも初出演であったにも関わらず、Billieは超満席で大きな拍手と歓声で3世代トリオは迎えられました。これから始まる長いツアーの始まりとして本当に心からうれしい大歓迎でした。(それにしても下関のオーディエンスは熱い!)

Billie

 洗練されたフレーズがどんどん飛び出すベニーさんのピアノ、ずっしりと重厚でありながら軽やかな遊び心いっぱいのバスターさんのベース。そして大我は時に溌溂、時に渋いドラミングでお二人からの問いかけに相槌をうったり、また自分から問いかけてみたり。3人で作り上げたCD「A Time In New York」から数曲とスタンダードを織り交ぜたステージは、濃厚な会話が満載で、本物のジャズを継承するこのトリオのパフォーマンスは、会場を程よい緊張感と熱い空気でいっぱいにしました。
 
 アンコール終了後もスタンディングオベーションで拍手がなりやまない、感動のステージでした。

 ステージ後は、もちろん「てっちり」で!Billieさんのご配慮に大感謝のトリオでした。
at Billie
 ベニーさんのおとなりは、フィアンセのリアさんです。

Buster & Tiger4
 仔虎とその飼い主?

 

ありがとうございました

 「Tiger Jazz Successors Tour 2009」は、大好評のうちに全行程を終了することができました。
 素晴らしいスウィング感に満ちた感動と興奮の2週間でした。
 老若男女、本当にたくさんのお客様が暖かい拍手と笑顔で応援してくださったことに、Jazz Successors Trioの3人とスタッフ一同、心より深くお礼申し上げます。
 バスター・ウイリアムス、ベニー・グリーン両氏も異口同音に「今まで経験したことのないSpesialでAmazingな2週間だった」と述べられ、本ツアーに確実な手ごたえと充実感を感じていただいたようです。

 ツアーは「終わり」ましたが、空港で別れ際にバスター氏とベニー氏から嬉しい言葉をいただきました。
「これを出発点としよう!」と。

 これからもますます進化する大我を今後ともよろしくお願いいたします。
 ツアーの様子、写真とともにお伝えします。お楽しみに!
 まずは、応援してくださった皆様にお礼まで!

tiger jazz successors trio
 ありがとうございました

時は過ぎゆく…

 昨年、年の瀬も押し迫った12月30日、トランペッターのフレディー・ハバート氏の訃報が届き、大我も大変な衝撃を受けました。
 大好きなドラマー、エルヴィン・ジョーンズ師との共演も多かったので、鋭い光を放つような芯の強いトランペットの音色に自然と惹かれ、大好きでした。長い間、唇を痛めて表舞台から退いておられたため、往年のCDで名演を聴くたびに何とも残念な思いがこみ上げてきたものでした。ああ、生で聴いてみたい…と。
 そのフレディー氏が、フリューゲルホーンで復活CDを出され、徐々にライブ活動も再開されていると聞いたのが昨年はじめのこと。そして、大我がレコーディングで6月に渡米した際、彼のライブシリーズに遭遇したのです。夢に見た念願の「フレディー・ハバート生演奏」を聴いたのでした。
 今思えば、大我がNYに滞在していたわずかな時期に、Iridiumで彼がライブシリーズを行い、その生演奏を大我が聴くことができたのは、何かしら理由があったのではないか…。そう思えてなりません。

 上機嫌でした。オンステージもオフステージも。

 バスターやベニーと一緒にレコーディングだって!?
 なんとまあ…
 (大我をじっと見ながらゆっくりと首を10回くらい振る…)
 おまえはそんなにうまいのか?
 きいてみたいもんだなあ・・・


 そう言いながら、マネージャーに大我のライブ予定日の自分の日程を確認しておられたフレディー氏。「ああ○○!その日はメキシコだ…」そう舌打ちしながら残念そうな表情を見せてくださった。今ではその表情の記憶が宝物です。

 バックステージであんなに人としゃべるミュージシャンをほかに見たことがありません。放っておけば、たぶん一晩中でもしゃべっているでしょう。
 ジャズの表舞台に帰り立ち、彼を忘れなかったファンやミュージシャン仲間が彼を温かく迎えたこと。それで、彼がそれまでに人知れず耐え忍んできた苦しい思いが一気に解き放たれたのではなかったでしょうか。たたえておられたのは、まさに「歓喜」の表情でした。酔っ払ってましたけど…。
大我&Mr. Freddie Hubbard

 彼の思いは彼のみぞ知る。だから全くの想像でしかありませんが、もし彼が、トランペットを吹けなくなった悲劇のヒーローのまま去っていったのではなく、我々が感じたとおり、復活の歓喜の中、愛されるジャズマンとして最高の気分のまま天国へ旅立たれたのだとすれば、本当に、本当に、よかったと思います。
 


 こんなことを今日書いたのは、新たな訃報をまた聞いたからです。
 サックス奏者のDavid Newman氏が旅立たれたとのこと。
 Newman氏もまた、大我が昨年の渡米の際にそのライブを聴いたベテランジャズマンです。Dizzy's ClubでのRonnie Smith Quartetで聴きました。
 大丈夫かな?と思うほど弱々しい風情の方でしたが、スツールからよろよろとソロに立ち上がると、もうありえないような若々しい音色で朗々と歌い上げる…。存在感溢れる素晴らしいプレイヤーでした。数多く聴いたライブのソリストの中でも強く印象に残っています。

 時は過ぎゆく… 万人に平等に…
 シンバルの陰に隠れ、一体どこにいるのか見えないほど小さかった6歳のころから、尊敬するジャズメンの名演を追い続けてきた大我も早(?)二桁の10歳。
 時計は休みなく進み行くものなんですね。
 残念なジャズ界の訃報を聞くたび、どんどん背が高くなる大我を見ながらそう思います。
 追う背中がどんどん届かないところへと行ってしまうのです。
 

海を超えて演奏するということ…

 大我は、現在スペインはバルセロナに滞在中です。
 アシックスのブランド、オニツカタイガーブランドが参加するヨーロッパ最大級といわれるファッション見本市「Bread & Butter」での演奏です。
 海外で演奏する場合、日本とは様々な面で勝手が違い、意思の疎通にも苦労します。いろいろと大変な思いをしてきた大我ですが、今回は、阿吽の呼吸で演奏できるTiger, Burning Bright (ピアニスト辻佳孝さん、ベーシスト出宮寛之さん)が一緒ということで、演奏内容に関しては心強いのです。演奏以外の面は行ってみないとわかりません…

 昨年末にシンガポールへ行った際は、本当に大変な思いをしました。
 ドラムセットが頼んだものと違い、プログラム内容が聞いていたものと違い、そして共演ミュージシャンが想像と違いました。そして、スケジュールがとても曖昧。いつ、どこで、何を、どのように、何のためにやるのかが明確に説明されず、常に大我は不安を感じ続け、リラックスして演奏に集中できる状態になれませんでした。
 「韓国はテキトー王国(*韓国ブログご参照)だったけど、シンガポールもたいがいやね…」というと、久々に大我語録が出ました。
「ちゃう!ここは『テキトー王国デラックス』や

 一番カルチャーショックだったのは基本的に「ジャズの用語」が理解されていないこと。
 パーカッショニストとのコラボを頼まれていたので、打ち合わせを進めているとなんかかみ合わない。やってきたのはロックドラマー達でした。愕然・・・。ロックドラマーと一体どーやってコラボせいっていうのか…。
 「ソロ」演奏の打ち合わせをしたいというので進めるとまたかみ合わない。彼らのいう「ソロ」とは、バンド演奏自体のことでした。他のミュージシャンとのコラボではなく、バンドだけでの演奏という意味でした。コラボの中でいわゆるドラムソロが予定されていたので、話がこんがらがりまくり、この誤解に気付くまでは本当に??????でした。つかれた。
 ある意味で、ものすごくいい勉強になりました。海外で演奏するということは自分たちの常識をすべて捨てる勢いで臨まなければならないということです。
 バンドとして集めれられたミュージシャンの方々は…いい人たちでした。ホントに。そしてお人柄そのままの非常にソフト系な奏者でした… のんび〜り和やか〜にリハをやる彼ら。大我は、自分の思い描く音楽的な意思の疎通を彼らとできるのか半信半疑のままでやりにくそうでした。本番でやっぱりリハとは違うアグレッシブなアプローチを見せた大我に、メンバーさんたちはマジで度肝を抜かれ、「こりゃたいへんだ!」と思ったのでしょう、やっと本気で足もとがふらつくほど必死で演奏していました(遅いっての・・・
Singapore band
 左から、ダンカン・マッキーさん(p)、大我、ファビアン・リムさん(ts)、ブランドン・ウォンさん(b)
 帰国後、ファビアンさんから大我にメールが来ました。「キミは僕が今まで一緒に演奏したどのドラマーよりすごかった。ありがとう」と。その時その時、燃え尽きるほど、ハートを込めた演奏をする…そういう土壌がシンガポールのジャズ界にはなかったんだな…とそのメールを読んで感じたのでした。皆さんうまい奏者なのにもったいない限りです。

 シンガポールで大我は、2種類のコンサートで計3回演奏しました。
 ひとつが「Asia On The Edge」というイベント。音楽のみならず文学者や哲学者、それに料理研究家などもアジア各国から招かれていました。大我は、旧議事堂だという歴史的建造物で演奏しました。
Singapore AOTE

 そしてもうひとつが、2夜連続のChild Aidという大統領臨席の国家規模のチャリティイベントでした。恵まれない子供たちに教育の機会を与えようという趣旨のもので、シンガポールの未来を担う若いアーティストが出演し、大我と香港からのクラシックピアニストの2人が海外からのゲストでした。大我のバンド演奏はこのコンサートのトリでしたが、他にパーカッショニストならぬロックドラマーのキッズたちとコラボに参加したわけです。コラボといっても、完全にロックドラムパフォーマンスだったので、大我は「ドラムソロ」(ほんまのソロ)で参加した形でした。
ChildAid
 クラシックやポップスや、ダンス、バレエなどもありバラエティに富んだ内容で満席のオーディエンスも盛り上がっていました。
 コンサート後、出演者の女の子達に囲まれる大我。みんな大我にサインをねだっています。モテモテじゃ・・・
Singapore girls
 写真はありませんが、レオタード姿のダンスチーム女子軍団総勢約20名にもみくちゃにされハグされまくり、ヨレヨレになっちゃった大我には思わず笑っちゃいました。
 キッズドラマーたちにとっても、ジャズドラマーである大我はアコガレの存在のよう。やっぱりサインと写真をねだられ質問攻めに会っていました。
Singapore boys
 左からアーウィン君、大我、イーサン君、ノア君。それぞれみんなすごく達者なドラマーです。父がプロドラマーだというアーウィン君はジャズドラムにとても興味があって勉強中だとか。いろんな質問を大我にしていました。シンガポールドラムコンペの優勝者だというイーサン君、パワフルな華のあるドラミングでした。ノア君その弟でまだ5歳。ただただかわいかった…。
 シンガポールでは、子供に習わせるのがさかんなのがピアノと並んでドラムなのだそうです。将来世界で活躍するドラマーがシンガポールからも生まれるのでしょう。


Singapore river
 スケジュールが曖昧で無駄に拘束される時間が長く、5日間のシンガポール滞在で大我が観光したのはたった30分の遊覧ボートのみでした。
Singapore boat
Singapore lion
マーライオンだー!

 よそのお国柄にいちゃもんをつけるつもりはありませんが、シンガポールでの演奏を通して強く疑問に感じたことがありました。
 大我側は、アバウトすぎる状況に不安を感じ、しつこいほどに舞台環境、音響、手順や段取りを確認し、我慢の限度を超える部分については遠慮なくクレームをつけて改善してもらいました。それは、その場でできうる最高のパフォーマンスを観客に提供するため、プロとして必要不可欠なことです。…とその理由もつたえました。しかし、しかし…
「これはチャリティなんだから、プロだからとかは抜きにしてやって下さいよ」
と返ってきたのです。ここに、この国の(現時点での)限界を感じてしまったのです。「チャリティだ。いいことしてるんだ」ということがすべてになってしまい、内容はニの次だなんて!第一、その考え方はチャリティにしろ何にしろ、お金を出して見に来ている観客をないがしろにしているではないですか?
 コンサートに来てくれた現地在住の知人にそんな愚痴をこぼしたら、返ってきた一言に愕然としました。「観客の方もそれほど耳や目が肥えてると思えない。チャリティだといってそのことに酔ってるのは観客の方かもよ…」と。
 なんだか、目に見えない敵を相手に水中でもがいているかのような…、そんな気分になりました。空回りな努力だったのかと、ショックでした。
 パフォーマンスする側も見る側もどちらもが成長しなければ、芸術は育って行かないとうことなのでしょうか。観客が演奏家を育て、演奏家が観客を育てる。そういうことなのでしょうね。
 生き生きとした表情でドラムをたたいていたあのキッズドラマーたちの瞳の輝き…。輝き続けますように!ふとそんなことまで思ってしまいました。


 さて、大変な海外遠征…
 バルセロナではTiger, Burning Brightどんな風になってるでしょう?
 お土産話が楽しみ!
 (…なような、怖いような…)



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