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2019-10

ニューオリンズ最終日、事件が…! - 2008.10.20 Mon

 ニューオリンズを去る日の朝、大我は地元のある小学校を訪れました。
 アメリカの夏休みは長く、普通6月から9月の3ヶ月間もあります。ダラダラ過ごしがちなその間に何か有意義な体験をさせてやりたいと思うのが親心、そして何かにチャレンジしてみたいと意欲を燃やすのが子供心。通常の授業期間では実現できない様々なテーマを盛り込んだサマーキャンプが企画され、多くの子供たちが希望のプログラムを見つけて参加します。ニューオリンズでは、さすが土地柄、ジャズのサマーキャンプがあるのですう・ら・や・ま・しー
 そんなジャズキャンプ「ルイ・サッチモ・アームストロング・ミュージック・キャンプ」で講師をまかされているのがトランペッターのマーロン・ジョーダンさん。2日前に共演した大我の演奏にたいそう感激して、「子供たちが大我の演奏を聴いたら、すばらしい可能性を感じるはずだから…」とゲストミュージシャンとして呼んでくださったのです。

 大我が外国の小学校に足を踏み入れたのは初めて。夏休み中の校舎にトランペット、サックス、トロンボーン… 思い思いの楽器を抱えたたくさんの少年少女が集まっていました。さすがはニューオリンズ!ジャズが浸透している街ならではの光景でした。

 事務局でサインインして教室へ案内された大我。早速マーロンさんと演奏することに。突然現れた小さなアジア人の男の子の存在がなんとも解せない様子の子供たちにマーロンさんが、「彼はギネスにも載っている世界最年少のプロジャスドラマー。素晴らしいミュージシャンだ。君たちも今は始めたばかりでも、一生懸命練習して努力すればこんなに素晴らしいジャスミュージシャンになれるんだ」と大我を紹介。子供たちの眼は半信半疑、興味と期待が半分半分…。

 ところが、演奏しようと思った瞬間、事件が!!!!
 このサマーキャンプの運営責任者とおぼしきおばちゃんが教室へ乱入!
 「ちょっと待ったあ~!」 と静止。撮影も禁止。

 しばし、おばちゃんとマーロンさんの押し問答。表情がだんだん険しくなって大我も子供たちも不安顔・・・。 要するに、大我をゲストとして迎えるにあたり、ペーパーワーク(書面)が事前にきちんと上がっていないとのクレームでした。それはそうでしょう。なんせ、2日前のライブでマーロンさんが大我と共演して直感で即決したことですから。しかし、やはり公の機関が行う公のサマーキャンプ。ペーパーワークの必要性がものすごーーーーーーく大切なようでした。お国事情として、預かる子供たちに何か大変な事態があってはならないということはよく理解できますが、まさか大我がちびっ子テロリスト見えたわけでもなかろうに…。
 とにかく、おばちゃんとマーロンさんが厳しい口調でやりあっているのを唖然と見ているしかありませんでした。やがて、バトルは教室の場外へ…。しかたなくそのままドラムセットに座ったまま待っているとマーロンさんが戻ってきました。そしていきなりのカウント!
 で…
 なぜか3拍子の「Maiden Voyage」を吹き始めるマーロンさん。子供達にはちょっと高度な選曲に思えましたが大我はひるまず1拍目からぴったり食らいつきました。(大我の後日談、「カウントは4拍子やったんやで!でも曲はMaiden Voyageの3拍子!ビックリしたわ!」マーロンさん、よっぽど頭に来てたみたいです)
 曲の打ち合わせやリハーサルが全く無く、しかも言葉の通じない者同士がいきなり演奏できてしまう光景を目の当たりにした少年少女達。みな口をポカンと開けた状態で、ニューオリンズが世界に誇るスタートランペッターと自分達と年端も変わらぬ異国の少年ドラマーの共演に心を奪われた様子で本当にビックリしていました。

 ジャズの都に生まれ育った生粋のニューオリンズっ子たちの前で、ニッポン人の大我がジャズ(即興)を演奏して聴かせる、これぞ究極の「逆輸入」的な奇妙な感じでしたが、見つめる瞳はどれも興奮でキラキラ輝いていました。その輝きはまさにマーロンさんが求めていたものだったに違いありません。

 しかししかし…、演奏後、さらにもっと偉いさんらしきおっちゃんもやってきてマーロンさんと再び押し問答バトル。大我たちは子供たちと交流することもなく帰るしかない状況になってしまいました。なんだか不思議な展開でした。

 仕方なく学校の入口を出てタクシーを待っていると、驚いたことにそこへマーロンさんも出てきました。マーロンさん、その手にトランペットのケースを持っているではありませんか。そして何やら電話で迎えを呼んでいる様子。
 いやな予感・・・・・・・・・・・・
 怖いので尋ねていませんが、マーロンさん、おそらく…自分の主張を曲げず、場を蹴って(辞職)出てきたのではないかと思われました。ちなみにその日はサマーキャンプの初日…。
 あまりのことに、
 「面倒なことになってしまったのでは?すみません。」
 と誤ると、
 「Oh,No,No!あなた方は謝る必要は何もない。僕にとっても全く何の問題もない。あの人たちは何が大切か分かってないんだから。」とあっけらかんな笑顔。
 
 そしておだやかに付け加えられました。
 「音楽はね、分かち合うべきものなんだ。だから音楽を志す子供たちに大我の音を聴かせたかっただけ。それが音楽を志す彼らにとってどれだけの励みになるか。わかるだろ?彼らに聴かせることができてよかったよ」

 子供たちにジャズを触れさせようとする者同士なのに立場がちがうとすれ違う・・・
 サッチモだったらどうしてた?・・・
 サッチモの名の付いたサマーキャンプ。マーロンさんの熱い思いの方が勝っていました。感謝です。

 さらにニッコリして
 「僕は本当に大我が大好きなんだ」

 とても優しい物腰のマーロンさん。そんなマーロンさんの男気に満ちたジャズ魂を垣間見た「事件」でした。
marlon jordan
 こちらが、かっこいいスター、マーロンさんの演奏姿。


 その日の午後、マーロンさんの言葉を何度も心の中で繰り返しながら、ニューオリンズを後にした大我でした。ある意味、忘れられない貴重な思い出のひとつになったことは間違いありません。


 その後、マーロンさんとサマーキャンプがどうなったのかは不明です
(一部始終はあまりの緊迫感に写真に収めることができませんでした)

 
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● COMMENT ●

小学校のコンサート

たいがさん、ご家族様、こんにちは。ご無沙汰しています。
記事を読んで思わず書き込みしました。

そうなんです!!
NY州でもそうらしいんですが、小学校内での部外者の企画コンサートって、ものすごく大変なんだそうですヨ。
九月に、私の音楽仲間がNY州マンハッタンはダウンタウンのとある公立小学校でコンサートをした時は、学校に設置してあるピアノを使用許可いただけず、わざわざ外部から別のピアノを運んで来る必要がある小学校内でのコンサートとなりました。
事前に企画を綿密にする必要があって、ものすごくキビシいらしいんです。
それでも、生徒さんの前で演奏できたこと、すごいことなんです。。。
諦めずに、その場で踏ん張った大我君と皆さんの熱意、きっと子供たちは忘れないでしょうね。

こんにちは

初めて書き込みます。よく参考にしています。また遊びにきます☆


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