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2024-04

Village Vanguardの長~い夜 - 2008.08.09 Sat

 ジャズの歴史に残る巨匠たちの名演は、何度聴いても新しい発見があり、感覚として学ぶところがたくさんあります。生で聞けないのが残念ですが、ラップトップにたくさんのCDを取り込んでアメリカへ持って行き、繰り返し繰り返し聴いている大我。でもやっぱり滞在中にはできる限り生でいい演奏も聴きたいものです。

 そこで、出かけました。老舗ジャズクラブVillage Vanguardへ。
village vanguard

 重鎮ルー・ドナルドソンさんのカルテットです!ルーさんといえば、何といってもBoogaloo!大我が1stアルバム「TIGER!」の中で演奏した「Tiger's Boogaloo」のリズムは、ルーさんの演奏で一躍脚光を浴びた「Alligator Boogaloo」へのオマージュでもあったのです。元祖のファンキーな演奏をぜひ生で聴きたい大我なのです!
 そして、どうしてもこのライブを見逃せない理由がもう一つありました。現在世界のジャズ界を第一線で引っ張るドラマーの筆頭として大我が大変尊敬しているドラマー、ケニー・ワシントンさんがスティックを握るのです。素晴らしいドラマーは世界にはたくさんおられますが、本物のBe-Bopの泥臭く熱い空気をここまで出せるドラマーは、ケニーさんをおいて他にいないと思っています。恐れながらもあえて深い敬意を込めて呼ばせていただけるなら、ケニーさんは、ジャズ一筋の本物の「ジャズドラムバカ」なのです。ジャズミュージシャンの中でジャズアルバムコレクションは世界№1!その中の演奏内容をすべて記憶しているのも世界№1!!(あるNYのミュージシャンから以前聞いた事があります。「演奏中、ハッキリと覚えていないテーマ部分のコードを自分なりに進行すると直ぐケニーに指摘されるんだよ」と。そうなんです、アレンジして良いところとしてはいけないところを頑固に守り続けているのです。ケニーさんは、先人たちが創り出した音楽に敬意をもって取り組んでいる真面目なジャズバカなのです。)
 ケニーさんとは、前回の渡米時にお会いしてジャズドラムについて沢山の事を教えていただいたり、来日された時に電話でお話したり、Eメールで近況報告したりでしたが、結局2年半ぶりのご対面となりました。

この日のクレジット。

Lou Donaldson(sax)
Michael Weiss(piano)
David Wong(bass)
Kenny Washington(drums)

 この日メンバーの中で一番にVanguardへやってきたのは、ベーシストのDavid Wongさんでした。チューニングをしながら一番前に陣取っていた大我をチラリと見てしばし考え込むWongさん。大我も考え込む…。どっかで会ったことがある…。そうでした。東京ブルーノート公演時のRoy Hanesさん(巨匠ドラマー!)のベーシストでした!ほぼ同時にWongさんも思い出したようで、「Tigerくん?だよね?久しぶり!」と声をかけてくださり、ハグをして近況報告を。Wongさんはステディで的確なベースサウンド。なんとも言えないクールな存在感で、今やNYのジャズシーンでは引っ張りダコの若手ベーシストです。
 他のメンバーとは演奏前に会うことが出来ないまま、1stセットがはじまりました。
 ケニーさんのその演奏はやはり強烈。力強くそして優しい音とリズムに心から酔いしれました。
 初めて聴く生のルーさんの演奏も本当に楽しかったです。もっと淡々としたジャズかと思っていたのですが、なんとも温かく楽しい人間味あふれる音楽!長く活躍して来たジャズマンの余裕と貫録を感じました。MCも絶妙(大我には訳せないキワドイ話もあり・・・)で演奏時とのON・OFFがうまく交差する楽しいステージ!
大我&Mr. Lou Donaldson2
 演奏の合間、ソロを終えたルーさんがなぜか大我のとなりに…
 まるでおじいちゃんと孫…

 あっという間に1stセットの最後の曲。ルーさんがメンバーの紹介をし、その最後に「本日は素晴らしいゲストがここに来られています。Tiger!」・・・・・・・???
 NYのライヴでは、その日のライヴを聴きに来ている著名なゲストを必ず紹介します。
 「えっ?何故?演奏前にご挨拶できなかったルーさんがなんで大我の事を知ってるの???」
 大我もキョトンとした顔。慌てて観客の皆さんに微妙なスマイルで頭をペコリ!

 1stセット後、ルーさんにきちんとご挨拶をしに楽屋へ。
大我&Mr. Lou Donaldson
「ナイスミーチュー、サー!アイム、タイガー」とナンチャッテ英語で挨拶する大我。「Nice to meet you, too! I'm Lou Donaldson. I know you. Do you wonna play in the next set?」「イエス、サー!」
 展開が早い・・・!
 Village Vinguardで叩く?
 ケニーさんを差し置いてルーさんと?
 ジャズミュージシャンにとってこの伝説的なハコで演奏するのは夢の夢のまた夢!
 しかし大我は即答で「イエス、サー!」 
 そうです!遠慮していてはいけないのです!こんな名誉なチャンスは何十年ジャズをやっていても簡単には巡って来ません。この4年間誰よりも多く緊張する場面を体験してきて、それを良く分かっている大我。だから躊躇はなしです!

 今回のルーさんをはじめNYの大物ミュージシャン達は、演奏を聴いたことがない相手であっても、自分が信頼している人からの紹介や噂であるとこのように突然ステージに上げるのです。
 そのステージのリーダーがOKと言えば、他のメンバーはNoと言いません。そしてほとんどのドラマー(大物であっても)がこころよくバトンタッチしてくれます。
 ケニーさんも大我にドラムを明け渡し、真横に陣取ってその演奏を聴いて大喜びでした!演奏中大声で「なんでこんな事が理解できるんだ?!信じられん!!」と子供のようにお腹をかかえて大笑い!心から嬉しそうでした。
 しかし残念なことに、日本のジャズシーンの現状はちょっと違います。大我は何人かに飛び入りを断られた事があります。店やお客様のリクエストを受けてその日のリーダーがOKを出し、ドラムの高さを調整しているとリーダーがやって来て、「ゴメンネ、今日のドラマーが交代するのがイヤだと言っているので・・・」と・・・。何回か大我もこういう悲しい思いをしたことがあります。決して叩けなかった事が悲しいのではありません。日本のジャズ界を代表すると言われる30代40代の第一線ドラマーなのに、なぜだろう?…何か怖いもの(プライド?)が有るのだろうか?リーダがリーダーシップを発揮できない状態でそのユニットが成立し楽しそうに演奏しているのは何か偽善的に見え、何か怖いもの(信頼すること?)から逃げているのだろうか。・・・と純粋に不思議で・・・。

 NYのジャズマンはそこのところは余裕です。なぜ余裕があるのか?それはジャズを愛し、ジャズの歴史に敬意の念を持ち、ジャズで生かされている己を知り、そしてそれを継承していくことの大切さを深く理解しているからだと思います。ジャズという音楽をやる上で不可欠なのはお互いに対する絶対的な信頼と敬意、そして次へ正しく継承していく責任を真剣に考える人間性。もしかしてそういうところが日本のジャズに決定的に欠けているのではないか、これから中核となる日本の若手ジャズマンの多くが本髄を追及することの大切さに気付かないまま、ジャパニーズジャズという小さな世界(市場としては大きいのでやっかいもんです)でライヴをこなして満足しているとすれば、そこには悲しく辛いものがあります。しかし日本の50代以上のジャズマンにはそうでない方が沢山おられます。たとえば日野皓正氏・山下洋輔氏・板橋文夫氏などetc.大我はこのオッチャンたちが大好き!怖くて優しくて大きくて毎回汗をいっぱいかいて演奏する信頼してついていけるジャズポケモンだから!


 さて2ndステージ。
 4小節相手をよく聴く。
 8小節演奏者を理解しようとする。
 12小節相手と会話してみる・・・。後は信頼と笑顔と真剣バトル!
Tiger On Stage@Village Vanguard

 お客さんも演奏者も一つの音楽に惹きつけられていき一曲終わるごとに大喝采!客席からは「More! More!」の歓声が飛び本当に楽しいステージでした!ルーさんもゴキゲン!ピアノのマイケルさんも大我に興味津々でとても楽しそうでした。

 終了後、沢山のお客さんから「NYでライヴをやらないの?」と聞かれ「7月7日9歳最後のライヴをSMOKEでやります!」「ん?今9歳?サインちょうだい!写真も!絶対聴きに行くから!」と・・・

 その後待っていたのがケニーさん!いや、ケニーコーチ!鬼コーチ!
 前回同様、スティックをとりだしマンツーマンレッスン!大我への継承がはじまりました。その目は本当に真剣なのです。
Tiger's lesson with Kenny Washington

 「大我の演奏はリアルジャズ!大我は既にジャズを理解している!だから一番大切なBe-Bopの叩き方を伝える!」と、毎回秘密のアクセントを大我に教えてくれるのです。それはケニーさんもまたこれまでにジャズジャイアンツから口伝えで学んで来たことの数々だったはずです。
 学校では決して教えてもらえません。こういったことは、相手の土壌に踏み込んで、生の言葉と実演をもって体感してこそ受け継ぐことができる物だと思います。自分の土壌で待っていてもだれもわざわざ持ってきてくれたりはしません。大我は自分から飛び込んで自分の物にしています。この日もお客さんも居なくなった後の約1時間近く、ケニー鬼コーチの熱きレッスンはVanguardのステージ上で続きました。
Tiger's lesson with Kenny Washington2


 Vanguardのドアマン…、稀に見るやる気のなさでトビッキリ無愛想、ちょっと笑えるほどの脱力おじさんでしたが、大我の演奏終了後から物凄く愛想のあるオッチャンに変身!最初からやってよ!しかもライヴチャージ要らないって!
 大我、ありがと~!


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● COMMENT ●

すごいなぁ・・・

なんか、読んでると悲しくなりますね・・・
なんか、日本人がセコく感じて・・・
その点、アメリカの人はスゴイですなぁ!!
歴史を感じるなんて、日本人にはちょっとむずかしいですねぇ。。

でも、大我クンはアメリカでもすごいんですねぇ~
自分も、はやく生で聴いてみたいですねぇ♪

V.V.Report

素晴らしいレポートをありがとうございます。
とても感銘を受けました。こういうことですよね、大切なのは。


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