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2008-10

ニューオリンズの新カリスマと… - 2008.10.18 Sat

 大我は、ジャズが生まれた街ニューオリンズへやってきて、ある意味でジャズの本当の姿を初めて知りました。それを教えてくれたのは、ミュージシャンたちであり、ライブハウスの人々であり、聴衆の方々、そして、ごく普通にニューオリンズの街に生活する人々でした。

 中でも、「ジャズの姿」をもっとも印象深く心に刻んだ場所がありました。
 それは、Kermit's Saloonというお店です。
Kermit's Saloon1
 大我はDonna'sでの自身のライブの前日の昼間、MITCHさんの案内でフライヤーを持ってこの店に初めて足を踏み入れました。
 その瞬間のなんと怖かったこと…。
 実は、この店はルイアームストロング公園からさらに北に入って行ったトレメ地区の中にあります。ほとんど地元の黒人しか歩いていない、よそ者は全く寄り付かない地区。観光客が足を踏み入れる地区ではありません。
 昼間から薄暗い店内には黒人の常連さんらしき人たちがカウンターでたむろっていましたが、ニッポン人の少年大我がドアを開けた瞬間、空気が凍りつきました。ドアを振り向いた全員が一瞬沈黙して我々を凝視…。「なんだ?こいつら?」というよそ者に対する視線がいくつも突き刺さりました。心臓がバクバクしました。(同行していたNY在住のカメラマンが一番ビビッてました)
 …が、ここで大我を置いて気を失うわけにも行かず、BGMのジャズの音量に負けない大声で「Kermitはいますかあ?」とひと思いに叫びました。
 ここは、ルイ・アームストロングの再来といわれるトランペッターでボーカリストのカーミット・ラフィンズさんのお店。世界的に認められたニューオリンズジャスの第一人者であり、地元ニューオリンズでは大変な有名人ですが、特に、出身地であるここトレメ地区の人々にとっては誇りであり希望の星、ヒーローなのです。
 だから、「Kermit」というそのキーワードで緊迫の空気が溶け、みんなが、「なんだあ。Kermitの知り合いなのか…、じゃあ仲間だ」という顔をして一瞬にしてWelcome!の空気に変わったです。そしてコーラスするかのように全員が「Kermit will be right back!(カーミットはすぐ戻ってくるよ)」と同時に教えてくれました。そして一人が「もしやTigerか?」と大我に気付きました。ラジオを聴いていた人がここにもいたのです。そうなるともう大我は引っ張りだこの質問攻め。


 そうこうしているうち、カーミットさんが帰ってきました。また「Tiger's here to see you!(大我が来てるよ)」の一斉コーラス。
 カーミットさんは、あの優しい笑顔で大歓迎して下さいましたが、とても忙しそう。大我にあるものを見せてくれました。それは、大我が2人分ほど余裕でおさまりそうな超大型のクラーボックスに入れられた大量のターキーネック(七面鳥の首)の煮込み!
Kermit's Saloon2
 白い帽子がカーミットさん。
 このボックスいっぱいに首煮込みが…
 
 「私が作ったんだよ。今夜のライブに来てくれる人に振舞うんだ。みんながハッピーになれるようにね。」とウインクするカーミットさん。そう、お料理を無料でふるまわれるのです。
 MITCHさんが後で言ってました。「カーミットは、ほんまええ男なんや。自分の成功を地元の貧しい人に惜しみなく還元するんや。まあ、ニューオリンズの人は、みんなできることならそんなことができる人間になりたいと思ってる。でも、とうていできないのが現状。だから、それをやってのけるカーミットをとてつもなくかっこいい人間としてみんなが尊敬し憧れてるんや」と。

 彼の音楽の素晴らしさは、彼の人間としての素晴らしさからでてくるものなのだと気付きました。

 その夜、カーミットさんに約束した通り、もう一度Kermit's Saloonへライブを聴きに行きました。夜までには大我がやってくる事がみんなに知れ渡っていて、店からもあふれんばかりの大勢の地元客の皆さんにフレンドリーな大歓迎を受けました。
 大我も何曲か一緒に演奏しました。ピアノは偶然にもDonna'sライブで共演したDavid Torkanowskyさんで、「こんなに早くまた一緒にやれるなんて最高だな!」と喜んで下さいました。
Kermit's live @ Saloon

 大我の演奏中に、テーブルの向いに座っていたおじいさんが声をかけてきました。「カーミットの父親です。」と…。隣には上品で美しいお母様も!お二人ともステージをまとめあげる息子の姿をとても誇らしげに見つめておられました。


 お店は奥まで超満員!誰もがハッピーな笑顔。全員がまるで一つの大家族のような空気でした。
 おばちゃんたちも踊りまくり!
Kermit's live people dancing
 ジャズは、ニューオリンズの歴史の中、昔から現在に至るまで、人々の生活に必要不可欠なエネルギーの源となってきたなのだとつくづく感じました。スウィングしなけりゃ生きてけない!のでしょう。

 Kermit Ruffinsさん。
 彼の魅力は、素晴らしいミュージシャンであり名士でありながら、誰に対しても同じ態度で接すること。ミュージシャンもそうでない人も、老若男女、黒人も白人も、何人でも、貧しい人も豊かな人も、たとえホームレスであっても…。
 彼が体現する音楽に代表されるニューオリンズのジャズには、そんな包容力がいっぱい詰まっていることを教えられました。気軽に聴きに行けるフレンチクオーター内のライブハウスも楽しいけれど、そこでは踏み込む事の出来ない強い「ジャズの姿」、深い「ジャズの意味」を体感した夜でした。


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