海を超えて演奏するということ… - 2009.01.21 Wed
大我は、現在スペインはバルセロナに滞在中です。
アシックスのブランド、オニツカタイガーブランドが参加するヨーロッパ最大級といわれるファッション見本市「Bread & Butter」での演奏です。
海外で演奏する場合、日本とは様々な面で勝手が違い、意思の疎通にも苦労します。いろいろと大変な思いをしてきた大我ですが、今回は、阿吽の呼吸で演奏できるTiger, Burning Bright (ピアニスト辻佳孝さん、ベーシスト出宮寛之さん)が一緒ということで、演奏内容に関しては心強いのです。演奏以外の面は行ってみないとわかりません…
昨年末にシンガポールへ行った際は、本当に大変な思いをしました。
ドラムセットが頼んだものと違い、プログラム内容が聞いていたものと違い、そして共演ミュージシャンが想像と違いました。そして、スケジュールがとても曖昧。いつ、どこで、何を、どのように、何のためにやるのかが明確に説明されず、常に大我は不安を感じ続け、リラックスして演奏に集中できる状態になれませんでした。
「韓国はテキトー王国(*韓国ブログご参照
)だったけど、シンガポールもたいがいやね…」というと、久々に大我語録が出ました。
「ちゃう!ここは『テキトー王国デラックス
』や
」
一番カルチャーショックだったのは基本的に「ジャズの用語」が理解されていないこと。
パーカッショニストとのコラボを頼まれていたので、打ち合わせを進めているとなんかかみ合わない。やってきたのはロックドラマー達でした。愕然・・・。ロックドラマーと一体どーやってコラボせいっていうのか…。
「ソロ」演奏の打ち合わせをしたいというので進めるとまたかみ合わない。彼らのいう「ソロ」とは、バンド演奏自体のことでした。他のミュージシャンとのコラボではなく、バンドだけでの演奏という意味でした。コラボの中でいわゆるドラムソロが予定されていたので、話がこんがらがりまくり、この誤解に気付くまでは本当に??????でした。つかれた。
ある意味で、ものすごくいい勉強になりました。海外で演奏するということは自分たちの常識をすべて捨てる勢いで臨まなければならないということです。
バンドとして集めれられたミュージシャンの方々は…いい人たちでした。ホントに。そしてお人柄そのままの非常にソフト系な奏者でした…
のんび~り和やか~にリハをやる彼ら。大我は、自分の思い描く音楽的な意思の疎通を彼らとできるのか半信半疑のままでやりにくそうでした。本番でやっぱりリハとは違うアグレッシブなアプローチを見せた大我に、メンバーさんたちはマジで度肝を抜かれ、「こりゃたいへんだ!」と思ったのでしょう、やっと本気で足もとがふらつくほど必死で演奏していました(遅いっての・・・
)

左から、ダンカン・マッキーさん(p)、大我、ファビアン・リムさん(ts)、ブランドン・ウォンさん(b)
帰国後、ファビアンさんから大我にメールが来ました。「キミは僕が今まで一緒に演奏したどのドラマーよりすごかった。ありがとう」と。その時その時、燃え尽きるほど、ハートを込めた演奏をする…そういう土壌がシンガポールのジャズ界にはなかったんだな…とそのメールを読んで感じたのでした。皆さんうまい奏者なのにもったいない限りです。
シンガポールで大我は、2種類のコンサートで計3回演奏しました。
ひとつが「Asia On The Edge」というイベント。音楽のみならず文学者や哲学者、それに料理研究家などもアジア各国から招かれていました。大我は、旧議事堂だという歴史的建造物で演奏しました。

そしてもうひとつが、2夜連続のChild Aidという大統領臨席の国家規模のチャリティイベントでした。恵まれない子供たちに教育の機会を与えようという趣旨のもので、シンガポールの未来を担う若いアーティストが出演し、大我と香港からのクラシックピアニストの2人が海外からのゲストでした。大我のバンド演奏はこのコンサートのトリでしたが、他にパーカッショニストならぬロックドラマーのキッズたちとコラボに参加したわけです。コラボといっても、完全にロックドラムパフォーマンスだったので、大我は「ドラムソロ」(ほんまのソロ)で参加した形でした。

クラシックやポップスや、ダンス、バレエなどもありバラエティに富んだ内容で満席のオーディエンスも盛り上がっていました。
コンサート後、出演者の女の子達に囲まれる大我。みんな大我にサインをねだっています。モテモテ
じゃ・・・

写真はありませんが、レオタード姿のダンスチーム女子軍団総勢約20名にもみくちゃにされハグされまくり、ヨレヨレになっちゃった大我には思わず笑っちゃいました。
キッズドラマーたちにとっても、ジャズドラマーである大我はアコガレの存在のよう。やっぱりサインと写真をねだられ質問攻めに会っていました。

左からアーウィン君、大我、イーサン君、ノア君。それぞれみんなすごく達者なドラマーです。父がプロドラマーだというアーウィン君はジャズドラムにとても興味があって勉強中だとか。いろんな質問を大我にしていました。シンガポールドラムコンペの優勝者だというイーサン君、パワフルな華のあるドラミングでした。ノア君その弟でまだ5歳。ただただかわいかった…。
シンガポールでは、子供に習わせるのがさかんなのがピアノと並んでドラムなのだそうです。将来世界で活躍するドラマーがシンガポールからも生まれるのでしょう。

スケジュールが曖昧で無駄に拘束される時間が長く、5日間のシンガポール滞在で大我が観光したのはたった30分の遊覧ボートのみでした。


マーライオンだー!
よそのお国柄にいちゃもんをつけるつもりはありませんが、シンガポールでの演奏を通して強く疑問に感じたことがありました。
大我側は、アバウトすぎる状況に不安を感じ、しつこいほどに舞台環境、音響、手順や段取りを確認し、我慢の限度を超える部分については遠慮なくクレームをつけて改善してもらいました。それは、その場でできうる最高のパフォーマンスを観客に提供するため、プロとして必要不可欠なことです。…とその理由もつたえました。しかし、しかし…
「これはチャリティなんだから、プロだからとかは抜きにしてやって下さいよ」
と返ってきたのです。ここに、この国の(現時点での)限界を感じてしまったのです。「チャリティだ。いいことしてるんだ」ということがすべてになってしまい、内容はニの次だなんて!第一、その考え方はチャリティにしろ何にしろ、お金を出して見に来ている観客をないがしろにしているではないですか?
コンサートに来てくれた現地在住の知人にそんな愚痴をこぼしたら、返ってきた一言に愕然としました。「観客の方もそれほど耳や目が肥えてると思えない。チャリティだといってそのことに酔ってるのは観客の方かもよ…」と。
なんだか、目に見えない敵を相手に水中でもがいているかのような…、そんな気分になりました。空回りな努力だったのかと、ショックでした。
パフォーマンスする側も見る側もどちらもが成長しなければ、芸術は育って行かないとうことなのでしょうか。観客が演奏家を育て、演奏家が観客を育てる。そういうことなのでしょうね。
生き生きとした表情でドラムをたたいていたあのキッズドラマーたちの瞳の輝き…。輝き続けますように!ふとそんなことまで思ってしまいました。
さて、大変な海外遠征…
バルセロナではTiger, Burning Brightどんな風になってるでしょう?
お土産話が楽しみ!
(…なような、怖いような…)
アシックスのブランド、オニツカタイガーブランドが参加するヨーロッパ最大級といわれるファッション見本市「Bread & Butter」での演奏です。
海外で演奏する場合、日本とは様々な面で勝手が違い、意思の疎通にも苦労します。いろいろと大変な思いをしてきた大我ですが、今回は、阿吽の呼吸で演奏できるTiger, Burning Bright (ピアニスト辻佳孝さん、ベーシスト出宮寛之さん)が一緒ということで、演奏内容に関しては心強いのです。演奏以外の面は行ってみないとわかりません…
昨年末にシンガポールへ行った際は、本当に大変な思いをしました。
ドラムセットが頼んだものと違い、プログラム内容が聞いていたものと違い、そして共演ミュージシャンが想像と違いました。そして、スケジュールがとても曖昧。いつ、どこで、何を、どのように、何のためにやるのかが明確に説明されず、常に大我は不安を感じ続け、リラックスして演奏に集中できる状態になれませんでした。
「韓国はテキトー王国(*韓国ブログご参照

「ちゃう!ここは『テキトー王国デラックス


一番カルチャーショックだったのは基本的に「ジャズの用語」が理解されていないこと。
パーカッショニストとのコラボを頼まれていたので、打ち合わせを進めているとなんかかみ合わない。やってきたのはロックドラマー達でした。愕然・・・。ロックドラマーと一体どーやってコラボせいっていうのか…。
「ソロ」演奏の打ち合わせをしたいというので進めるとまたかみ合わない。彼らのいう「ソロ」とは、バンド演奏自体のことでした。他のミュージシャンとのコラボではなく、バンドだけでの演奏という意味でした。コラボの中でいわゆるドラムソロが予定されていたので、話がこんがらがりまくり、この誤解に気付くまでは本当に??????でした。つかれた。
ある意味で、ものすごくいい勉強になりました。海外で演奏するということは自分たちの常識をすべて捨てる勢いで臨まなければならないということです。
バンドとして集めれられたミュージシャンの方々は…いい人たちでした。ホントに。そしてお人柄そのままの非常にソフト系な奏者でした…



左から、ダンカン・マッキーさん(p)、大我、ファビアン・リムさん(ts)、ブランドン・ウォンさん(b)
帰国後、ファビアンさんから大我にメールが来ました。「キミは僕が今まで一緒に演奏したどのドラマーよりすごかった。ありがとう」と。その時その時、燃え尽きるほど、ハートを込めた演奏をする…そういう土壌がシンガポールのジャズ界にはなかったんだな…とそのメールを読んで感じたのでした。皆さんうまい奏者なのにもったいない限りです。
シンガポールで大我は、2種類のコンサートで計3回演奏しました。
ひとつが「Asia On The Edge」というイベント。音楽のみならず文学者や哲学者、それに料理研究家などもアジア各国から招かれていました。大我は、旧議事堂だという歴史的建造物で演奏しました。

そしてもうひとつが、2夜連続のChild Aidという大統領臨席の国家規模のチャリティイベントでした。恵まれない子供たちに教育の機会を与えようという趣旨のもので、シンガポールの未来を担う若いアーティストが出演し、大我と香港からのクラシックピアニストの2人が海外からのゲストでした。大我のバンド演奏はこのコンサートのトリでしたが、他にパーカッショニストならぬロックドラマーのキッズたちとコラボに参加したわけです。コラボといっても、完全にロックドラムパフォーマンスだったので、大我は「ドラムソロ」(ほんまのソロ)で参加した形でした。

クラシックやポップスや、ダンス、バレエなどもありバラエティに富んだ内容で満席のオーディエンスも盛り上がっていました。
コンサート後、出演者の女の子達に囲まれる大我。みんな大我にサインをねだっています。モテモテ


写真はありませんが、レオタード姿のダンスチーム女子軍団総勢約20名にもみくちゃにされハグされまくり、ヨレヨレになっちゃった大我には思わず笑っちゃいました。
キッズドラマーたちにとっても、ジャズドラマーである大我はアコガレの存在のよう。やっぱりサインと写真をねだられ質問攻めに会っていました。

左からアーウィン君、大我、イーサン君、ノア君。それぞれみんなすごく達者なドラマーです。父がプロドラマーだというアーウィン君はジャズドラムにとても興味があって勉強中だとか。いろんな質問を大我にしていました。シンガポールドラムコンペの優勝者だというイーサン君、パワフルな華のあるドラミングでした。ノア君その弟でまだ5歳。ただただかわいかった…。
シンガポールでは、子供に習わせるのがさかんなのがピアノと並んでドラムなのだそうです。将来世界で活躍するドラマーがシンガポールからも生まれるのでしょう。

スケジュールが曖昧で無駄に拘束される時間が長く、5日間のシンガポール滞在で大我が観光したのはたった30分の遊覧ボートのみでした。


マーライオンだー!
よそのお国柄にいちゃもんをつけるつもりはありませんが、シンガポールでの演奏を通して強く疑問に感じたことがありました。
大我側は、アバウトすぎる状況に不安を感じ、しつこいほどに舞台環境、音響、手順や段取りを確認し、我慢の限度を超える部分については遠慮なくクレームをつけて改善してもらいました。それは、その場でできうる最高のパフォーマンスを観客に提供するため、プロとして必要不可欠なことです。…とその理由もつたえました。しかし、しかし…
「これはチャリティなんだから、プロだからとかは抜きにしてやって下さいよ」
と返ってきたのです。ここに、この国の(現時点での)限界を感じてしまったのです。「チャリティだ。いいことしてるんだ」ということがすべてになってしまい、内容はニの次だなんて!第一、その考え方はチャリティにしろ何にしろ、お金を出して見に来ている観客をないがしろにしているではないですか?
コンサートに来てくれた現地在住の知人にそんな愚痴をこぼしたら、返ってきた一言に愕然としました。「観客の方もそれほど耳や目が肥えてると思えない。チャリティだといってそのことに酔ってるのは観客の方かもよ…」と。
なんだか、目に見えない敵を相手に水中でもがいているかのような…、そんな気分になりました。空回りな努力だったのかと、ショックでした。
パフォーマンスする側も見る側もどちらもが成長しなければ、芸術は育って行かないとうことなのでしょうか。観客が演奏家を育て、演奏家が観客を育てる。そういうことなのでしょうね。
生き生きとした表情でドラムをたたいていたあのキッズドラマーたちの瞳の輝き…。輝き続けますように!ふとそんなことまで思ってしまいました。
さて、大変な海外遠征…
バルセロナではTiger, Burning Brightどんな風になってるでしょう?
お土産話が楽しみ!
(…なような、怖いような…)
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